自己信託 | 自己信託とは何か?旧来からの信託との違い、自己信託の利用方法の傾向 ― 自己信託SPCとは

2017年7月1日作成



改正信託法(2006年)は、旧信託法の委託者と受託者間の信託契約に基づく信託(信託法第3条1号、以下「旧来からの信託」といいます。)に加えて、自己の意思表示に基づく信託(信託法第3条3号、以下「自己信託」といいます。)を規定します。本稿では、許認可の観点からの分類と利用方法の傾向を取り上げます。

1.信託業法規制による分類

旧来からの信託は、信託業法に基づく許認可に関連して、(x)信託業免許を要する営業目的の信託(以下「営業信託」といいます。)と、(y)信託業免許を要しない非営業目的の信託(以下「民事信託」といいます。)に分類されます。

この「営業」又は「業」の解釈は、一般に、①行為が反復継続的に遂行されている、又は②社会通念上「事業の遂行」とみることができる程度のものとされています。さらに、「反復継続」は「意思」で足りるとする判例(最高裁昭和50年4月4日(弁護士法72条)等)が存在するため、実際には反復継続の行為をしなくても業に該当する場合があると解されています。

他方、自己信託について、信託業法は、受益権を多数の者が取得することができる場合に内閣総理大臣の登録(信託業法第50条の2第1項)を求めています。


以上を整理すると、改正信託法は、①旧来からの信託と②自己信託を規定し、信託業法は、①営業目的の信託に信託業免許を求め、②自己信託には、多数の者が受益権を取得することができる場合に、登録を求めています。また、自己信託は、①民事信託が伴う営業信託と見做されるリスクがなく、②多数の者が受益権を取得できない場合に登録が不要と解され、安定的な非営業目的の信託形態と考えられます。



2.自己信託の利用方法

自己信託の利用方法について:

  1. 英国法等の信託宣言の代替的利用が期待されましたが、成果は無かったようです。

  2. オリジネーターがサービサーを務める債権流動化取引において、コミングルリスクを解消する手段として提案されていましたが、普及しなかったと想像されます。当該利用では、利害関係者が受託者として信託財産である金銭を管理することになり、実務上の評価を得られなかったためと考えられます。



  3. 2015年に、特別目的会社を受託者とする不動産信託案件が確認されています(株式会社ファンドクリエーショングループが組成。)。当該案件では、独立第三者が管理する特別目的会社が受託者となることで、利害関係者を財産管理から排除しています。



なお、取引概要は、次ぎの情報を基に筆者が作成しています。

特別目的会社を受託者とする自己信託(「自己信託SPC」)は、上記案件以外でも確認されており、自己信託の有力な利用方法となる可能性があります。




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プロジェクト概要

特別目的会社(“SPC”)を自己信託の受託者とする自己信託SPCを投資ヴィークルに用いることを検討します。